今回のテーマは「ポスティング業界に初めて応募する人向けの面接Q&A」。
面接中に世間話をしているような感じでも、実はしっかりと採否がチェックされているのですね。
ポスティングの面接で採用担当者からよく出される質問と無難な受け答え、気をつけたい質問が出た場合の適った受け答えなどをいくつか取り上げてみました。
image:photoAC
目次
頭数揃えから人物重視の時代に!舐めてかかれないポスティングの面接
2017年度10月に発表された神奈川県の有効求人倍率は1.18倍と、全国からみても低い水準で推移しています。世は大手企業を中心に軒並み業績が回復しているにもかかわらず、依然として厳しい就転職が続いているため、これまで注目されていなかった業界に日の目が当たるようになりました。
例えば、ポスティング業界もその中の1つ。
ポスティングが今、就職が最も困難な中高年世代に注目されています。
最近では業種間の移動が顕著になったため、他業種の経験者による流入が盛んになったのではないでしょうか。そして数々の厳しい選考試験を経たにもかかわらず、なかなか就転職が決まらない対人スキルの高い応募者がポスティングの面接に臨むようになっているとの事。
かつてのポスティング業界は頭数さえ揃えておけばいいという、人材の質を問わないまま数にモノを言わせた採用を行ってきました。ですが社会情勢や環境の変化によりポスティングそのものの質が問われるようになった結果、業界全体でより優れた人材の確保が急務になっています。
生半可な気持ちでは採用さえ難しくなった現在のポスティングの面接で、他業種でも頻繁に耳にする採用担当者からの定番と要注意の質問、参考にしていただきたい受け答えなどを以下にまとめてみました。
もちろんポスティング業者により面接の傾向は様々ですが、参考にしていただけましたら幸いです。
ポスティングの面接で定番の6つの質問~ありのままに答えましょう
ここで言う定番とは、他業種の面接でもおなじみの質問内容とほぼ同義ですね。
大まかに言えば「志望動機」「経験の有無」「交通手段(ポスティングでは移動・配布手段)」「土日祝勤務の可否」「職務観」などです。
他業種の面接で揉まれた応募者であれば、よほどおかしな受け答えをしない限りはまず問題なくクリアできるでしょう。しかし、ポスティング業界が初めての面接だとしたら、随分と勝手が違ってきます。
以下はポスティング業界での面接のシミュレーションとして、事例を設定してみました。
【応募者情報】投函太郎(神奈川県横浜市在住 47歳男性)
1か月ほど前に7年間勤めていた中堅事務機器メーカーを自己都合退職。現在転職先を探しているがなかなか内定が出ないため、なけなしの貯金を取り崩して生活している。後2ヶ月しないと失業保険が給付されないため、経済状態の悪化に伴ってアルバイトをしようと決意し、とあるポスティング代行業者に応募。
現在は離婚して単身生活を営む。
自転車や車は所有しているが、バイクは未所有。
ポスティングの経験は無く、地理勘はあまりない。
定番の質問①「ポスティングの仕事に応募したきっかけをお聞かせください」
「就転職のための資金捻出」が本音なのでしょうが、この「就転職」がポスティングの面接では最大のNGワードの1つ。念願の就転職が決まったら、例えば2~3日であろうと、1週間であろうと採用後すぐに辞めてしまう…まず、面接官はそれを警戒します。
ポスティング業界は慢性的な人手不足。
殆どの人が次の仕事が見つかるまでの受け皿もしくはつなぎとしか考えていないため、必然的に離職率が高い傾向に。勤続年数的に言えば3カ月~長くて1年が平均といった所でしょう。
せっかく仕事を教えてもすぐに辞められてしまうのでは、採用側からすると立つ瀬がありませんよね。相手に余計な疑心を抱かせないだけの無難な回答としては「運動不足解消のために朝一番にポスティングしたいと思いました」など、求人情報誌でよく謳われているキャッチフレーズを応募のきっかけにした方が良いでしょう。
定番の質問②「ポスティングの仕事の経験はございますか?」
経験の程度ですが、経験者としてアピールするには少なくとも3カ月以上は必要でしょう。
業者が専門・得意とする配布テリトリーにもよりますが、大体3カ月くらいでポスティングの基本や応用が学べ、その間に配布エリアを一巡するからです。
例え一社でも業務を経験した事に変わりはありません。
逆に1日や1週間程度の超短期勤務の場合はまず未経験者扱いになりますので、最初から未経験だと伝えた方が無難でしょう。その上で「未経験ですが、将来の独立も視野に入れて
出来るだけ長く頑張ります」など、(嘘でもいいから)精一杯の熱意を伝えましょう。
定番の質問③「バイクに乗れますか?」
ここでのバイクとは50cc以下の「原動機付自転車(ミニバイク)」を指します。
バイクに乗れるかどうかの質問ですよね。
乗れれば「はい」、そうでなければ「いいえ」と素直に答えましょう。
乗れない(乗ったことがない)のに「乗れます」と嘘をついて後で乗れないことが分かれば、まず採用取り消しになります。
(自転車と同じで、少し練習すれば大丈夫だろうから乗れると言っておこう…)
と考えた投函太郎さん、非常に甘いですよ。
というのもポスティングにはポスティング特有のバイク・ライディング(例:郵便ポストに接近する際の狭いスペースでの8の字ターンなど)があり、ちょっとバイクを練習したくらいでは事故を起こす可能性があります。
少なくともポスティングでの原付バイクは自転車感覚で乗れるものではありませんから、「今は乗れませんが、練習してすぐにマスターして見せます」など、前向きに力強く答えましょう。
ちなみに「バイクに乗れる」とは「普段から大きな事故も起こさずにバイクに乗り親しんでいる」という尺度でお考え下さい。日常で乗っているのは当たり前、では、ここからがポスティングのライダーとしての本当のスタートなのです。
定番の質問④「バイクはお持ちですか?」
この質問もバイクを所有していれば「はい」、そうでなければ「いいえ」。
確かにバイクを所有していれば行動範囲が拡がるため面接ではかなり有利ですが、100%そうだとも言い切れません。
ポスティング業者は様々なテリトリーに活動範囲を拡げていますので、条件さえ合えば自転車やウォーキングでポスティング可能な配布エリアを任せてもらえる場合があります。
ちなみにポスティング業者に好まれるタイプのミニバイクは、ホンダ スーパーカブ50のようなパワータイプやスルーステップ式のスクーター、3輪タイプのジャイロ(キャノピー付き含む)など。
定番の質問⑤「土日祝でも出られますか?」
サラリーマン時代は土日祝休みだった投函太郎さん、ちょっと言葉に詰まってしまいました。
そのまま受け答えしなければ、「出られない」と判断されてしまいます。
何らかの深い事情があれば不参加も仕方ありませんが、業務上必要であれば社会人として率先して出るくらいの気持ちで臨みましょう。
この問いでは仕事に対する投函太郎さんの柔軟性が図られます。
まず、平日に配布する事の多いチラシは不動産や美容系など、土日祝ではスーパーや食品(寿司・ピザ等)系などとチラシによって大まかに決まっています。1週間もしくは1か月単位で組まれる配布スケジュールの中で業者はクライアントとの取り決めに応じて期間を区切り、様々なチラシをポスティングするのが普通。
様々な企業のチラシに触れられるチャンス!
「当然出られます。これを機に社会勉強させていただきます」がベストな受け答えですね。
※ポスティング業者によっては平日のみの配布となりますので、面接前に調べておくと良いでしょう。
定番の質問⑥「最後まで責任をもってやり遂げられますか?」
投函太郎さんの職務観を問う質問ですが、例えば投函が難しい大判のチラシでも投げ出さずに最後まで業務を完遂できるかという確認です。
「自分の請け負った仕事は最後までやり遂げます」
…社会人の常識として言うまでもありませんよね。
ポスティングの面接で要注意の6つの質問~よく考えて答えましょう
他の業種同様、ポスティングの面接でも引っかけや意地悪な質問が時折出ることがあります。いずれも迂闊に答えるとせっかく決まりかけた面接が白紙に戻ってしまうこともありますから要注意。
今度は「バイクの乗務歴」「勤務期間」「希望月収(または年収)」「不利な労働環境」「不利な待遇」についてみてみましょう。
要注意な質問①「バイクにはどれくらい乗っていますか?」
先の質問で「バイクに乗れます」と答えた人に追加で来る可能性のある質問の1つ。
この時、面接官は応募者のバイク・ライディングのスキルやレベルを図っています。
1年以上でしたらまず大丈夫なのですが、もし数日程度であれば「トレーニングが必要」と判断されかねません。
「私はバイクの乗車歴は短いですが、その分安全運転を心がけています」など、マイナス評価をプラス評価に変える何らかの好アピールをしないと、逆に採用面で大きな不利になってしまうかもしれません。
業者としては極力ライディングに慣れた人に来てもらいたいという事情があります。
というのも人材不足の上に最低限の従業員数で多種雑多な仕事を回しているため、新人研修にかける時間が殆ど持てないのが実情です。
逆に乗務歴1年以上の人は採用にぐっと近づけますのでラッキーですね。
要注意な質問②「どれくらい長く働けそうですか?」
もちろんこの質問の趣旨は「早く辞める人かどうか」を見極めることです。
例え投函太郎さんのように就転職や生活費のつなぎが目的で応募したとしても、「最低限1年以上は働きます」と強くアピールしましょう。
または志望動機の際、副業と絡ませて「最近収入が減る一方なので、副業として出来るだけ長い間働かせていただければと思います」と言えば、ポスティングを専業とする投函員募集の業者を除けばまずは問題ないと思います。
要注意な質問③「どのくらい稼ぎたいですか?」
月収ベースで〇~〇〇万円と、希望額を伝える際は少し大きめの数字を申告しましょう。
できれば「現在の家計では〇万円程不足していますので、まずはこの金額を目標にしたいと思います」など、数字の根拠も説明できればより説得力が出てきます。
収入=やる気の顕れですから面接で高評価につながりやすくなりますよ。
要注意な質問④「天気が悪い時でも出てもらいますが、大丈夫ですか?」
天気が悪い時とは「雨」「強風」「降雪」など、歩行すらためらわれる気象状況の事を指します。
神奈川県のポスティング業者の場合、ほぼ全てが「台風」「強雨」「積雪」など警戒警報以上の悪天候時にはポスティングを中止しますが、これも業者によりけりで「少雨」「強風」「降雪」程度ではポスティングを決行する場合も。
そんな悪天候時でも出てポスティングができますかという、投函太郎さんの覚悟を問うている質問です。
特に雨天下ではチラシが濡れやすくなり、チラシを目にした住人が問答無用でゴミ箱に捨てる確率が上がります。「投函の難しい雨天や強風にもめげず、出来るだけ早く丁寧にチラシをお客様に届けます」という不退転の気持ちを前面に打ち出せば、きっと覚悟は面接官の心に届くでしょう。
要注意な質問⑤「お給料は当月締めの翌々月1日払いですが、問題ありませんか?」
神奈川県のポスティング業者では稀なケースですが、資金繰りが芳しくない場合だと支払い上のサイトが1か月以上遅れることはざらにあるようです。せっかく決まりかけた面接でも、待遇面で条件が合わなければお断りする勇気を持たなければいけません。
投函太郎さんは1日も早く新たな収入源を確保したかったので、結局この業者を諦めて他のポスティング業者に応募することにしました。一社にこだわるのではなく、複数の業者に応募して労働環境や待遇面で最も希望に近い所に進路を取りましょう。
基本的に上記のように極めて不利な条件が呑める人は、貯金も十分にあって生活に余裕がある人など、かなり限られてくるでしょう。
まとめ
以上、投函太郎さんの例を挙げてポスティング業界での面接Q&Aをまとめてみました。人手不足が目立つポスティングは神奈川県下でも他の業種に比べてまだ採用されやすい仕事ですが、それでも準備不足だと決まるものも決まりません。決して現状を侮ることなく、しっかり準備して面接に臨みましょう。