神奈川県だけでも数百社あると言われているポスティング代行業者。
ピンからキリまである中で、広告主にとって販促・広報活動上で最適な業者選びをする上でどういった点に注意すれば良いのかについて今回は解説致します。
目次
新聞の折り込み広告とチラシポスティング、どちらがコスト的にお得?
神奈川県の場合、地方・大手新聞社の折込広告料と比べたチラシポスティングの費用は、1枚当たり平均でおよそ2/3程度で済むようです。
また、反響もダイレクトに得られてリスティング営業が容易になり、心身共にすり減らすような見込み顧客の開拓やリピート顧客の管理にムダが省けるようになるのが強みだとも。
神奈川県では1976年に施行された『訪問販売法(現:特定商取引法)』の改正で、現在は実質的に広告物が営業マンの代わりを務めているため、外回りにつきものの時間や労力、人的コストなどを大幅に軽減できるのもメリット。
さらには比較的エリアの制約を受ける新聞折り込みよりも広範囲かつムラがなく、チラシに限らず小冊子やカタログ、パンフレットに試供品など、広告物の形態を問わないきめ細かな配布が可能なチラシポスティングに注目が集まっています。
加えて戸建て住宅・集合住宅・商店・法人などのように投函先の選別が可能である点、『ポスティング1回に付き1業種1社』の業界ルールなどにも注目したいですね。
チラシポスティングに向く業種、向かない業種
新聞折り込みと比べるとチラシポスティングは少人数で行われる事が多いため、配布部数に応じて日数を要するといった点でしょう。
この点では同日一斉に、契約先の各家庭に届けられる新聞折込に分があります。
また台風や積雪など、天候次第では順延を余儀なくされる事があり、この点でも新聞折込と比べた場合のデメリットに挙げられるでしょう。
従って例えば前日の夕方、もしくは当日の開店までに大量の配布物を周辺地域一帯に完了させなければならないスーパーなどの特価チラシは、厳密な時間制限を伴う手前、チラシポスティングに不向きかもしれません。
他方で、例えば週末毎に開催するモデルルームの展示や物件の販売に長いスパンを要する不動産業界、定期的に割引キャンペーンを展開するピザや宅配チェーン店などの食品業界のチラシなど、一定の販促期間を置いた業種の広告物はチラシポスティングに向いている傾向にあります。
業者への初めての依頼・・・新規の広告主がうっかり見落としがちな4つの罠
image:photoAC
上記を踏まえた点で、初めて代行業者にポスティングを委託する際に広告主が注意しなければいけない落とし穴を4つご紹介します。
※以下の内容はあくまでもポスティング業界内での話になり、弊社ではしっかりとした規定を定め、きちんと指導を受けたスタッフで業務を行っています。
配布管理体制が明確ではない
まず、東京を中心とした首都圏周辺のポスティングでは、GPSを使用した投函活動が主流になりつつあります。
専用のアプリをインストールの上、1エリア(1マップ)毎に投函員の配布ルートや行動軌跡などをスマホに記録させ、最終的な配布報告を広告主に対して行うスタイルを採っています。まずは報告(フィードバック)・連絡(コミュニケーション)。
提案(サジェスチョン)・投函員の配布管理(マネジメント)をしっかりと行う代行業者の選定が大事でしょう。
過去にはいい加減な指導を受けた投函員が実際にはポストにチラシを投函せず、マンションの集合ポスト周辺に備え付けられたゴミ箱に大量遺棄するといった不祥事も起きているので、配布が業者の手でしっかり行われているのか、時間を作って広告主サイドが抜き打ち的にチェックを行うようにしましょう。
配布料金が適切ではない
広報手段を新聞折込からチラシポスティングに切り替える際の最大のメリットの一つが、1枚当たりのコスト低減です。
そこで肝心な事は、代行業者が呈示する配布料金がサービスや実績面に照らし合わせて適切な金額であるか否かでしょう。
明確な基準は都道府県によってまちまちですが、業種や発行部数、配布エリアによってチラシの単価が変わる点は全国共通です。
これは新聞折込でもチラシポスティングでもそれほど大差はありません。
業者が不当に値を釣り上げているかどうかの見分け方としては、新聞折込の相場を事前にリサーチした上で代行業者数社から相見積もりを取るのがいいでしょう。
チラシ管理が雑
広告主によるチラシの引き渡し、及び代行業者による受け取りの際でも業者のチェックが可能です。
心血を注ぐ想いで企画し、丹精のこもったデザインで制作したチラシが無下に扱われるのは、どの広告主でも嫌な気分になるもの。
運搬中にチラシの重大な破損や大きな折れを生じさせても何も責任を感じない業者であれば、肝心の配布管理体制に疑問符が付きかねません。
クレームの責任所在やイレギュラーの取り決めがあいまい
ポスティング契約の締結前に必ず確認すべきポイントの1つが、投函先からクレームが発生した際の対応。
責任の所在は広告主にあるのでしょうか?それとも代行業者でしょうか?神奈川県下では全般的に代行業者が責任を負う傾向にあるようですね。
何故ならば「代行業務ゆえにクレーム対応も含まれる」という暗黙のルールが業界側で醸成されているからです。
それでもムダなクレーム処理を極力減らすには、イレギュラーの規定を別途設けた方がいいでしょう。
イレギュラーとは業界用語の1つで「ポスティングの当事者間で取り決められた規定またはやむを得ない事情(建物が更地化・閉鎖・管理人からの拒否など)によりチラシの投函が不可能な物件」を指します。
「取り決められた規定」とは、例えば「投函禁止の貼り紙のある物件には一切配布しない」「チラシの回収・無許可投函による罰金・迷惑行為に基づく警察通報など、強硬なチラシ禁止を謳った物件はNG」といった、広告主と代行業者間の協議で決定される投函基準を指します。
例え代行料金が格安でも、クレーム対応や投函ルール決めに著しく消極的な業者は回避しましょう。
管理を密に、広告効果を高めるためにこれだけは押さえておきたい5つの条件
厳正な配布期限の設定
仮にキャンペーン期間が翌週一杯に設定されているのでしたら、配布期限は今週の半ばから3~4日間がセオリーかつベストです。
配布枚数が嵩んだり、悪天候でポスティングが順延したりする場合は配布期限の延長も止むを得ませんが、ここでもやはり依頼時にはできるだけ数社と相見積もりを取る事が大事でしょう。
おそらく料金的に費用はやや嵩みますが、悪天候などの不利な環境下でも期日通りにポスティングを、サービスの質を落とさずに実施可能な業者がベターだと思われます。
配布報告の単位設定
①GPSでマップ毎に細かく配布枚数を広告主に報告するのか、もしくは全てのマップを総括してトータルの配布結果だけを報告するのか?
②トータルの配布枚数を報告する際は1枚単位(例:3818枚→3818枚)による申告なのか、それとも四捨五入単位(例:3818枚→3820枚)による申告で代行業者から配布報告を受けるのか?
広告主と代行業者とのポスティング業務契約により、採用される報告形式は変わってきますが、自社に適した形で受けるようにしてください。
正確な配布枚数の把握は広告効果の算定に欠かせないもの。
広告管理の効率化に関わる事ですので、率先して配布実態を掴むように心がけましょう。
広告物返品の可否
チラシ1梱包当たりの枚数は業種やチラシの形態、折りの有無や印刷料金などによって異なってきます。
不動産業界を例に取れば、平均的な紙ペラ・折なしチラシで1梱包辺りの枚数は1000枚から2000枚が定番です。
広告物返品の可否については、契約時にしっかりと約定を交わすべき重大な事項。
いい加減な形で済ませてしまうと、後々意外な形で業者間とのトラブルに巻き込まれる可能性があります。
業界的にはビニール紐やバンドで結束したままのチラシの状態が未開梱物、結束を全て解いたものが開梱物とされています。
チラシの発行部数はエリア・マーケティングに沿う形で適正に刷られたものですから、本来は極端に余るものではありません。
ただし悪天候による順延や投函員の予期せぬ離脱など、何らかの事情でチラシが十分に配られずに大量に余ってしまう事があります。
その際の広告物返品の可否は代行業者・広告主にとって重大な問題です。
余ったチラシでも反響の計測やデザインの刷新用に、あるいは内容に記載された数字だけを変えて再利用される事はあるものの、キャンペーン期間を過ぎた「紙のチラシ」そのものは役に立ちません。
返品不可とは即ち「買取」です。「未開梱分は引き取るが、開梱したチラシのバラは返品不可」など、当事者同士で事前の取り決めが必要でしょう。
チラシ破損に関するペナルティ規定
小冊子やパンフレット、試供品のように丈夫に組成された広告・販促物ではないチラシの場合、代行業者の扱い方が悪ければ破損や大きな折れが生じるなど、非常にもろい形質を有しています。
故意の有無にかかわらず、ペナルティとしてチラシ破損1枚分の弁償額を事前に取り決めておくのも有効でしょう。広告主にとって損をしない形に持っていく事を心がけましょう。
配布未達・虚偽の申告などのペナルティ規定
何らかの理由で配布期限に間に合わず、代行業者が故意に配布実績を捏造して虚偽の申告を広告主に対して行った場合、この詐欺行為は間違いなく社会的信用にかかわります。
このような場合は十中八九で広告主から契約解除され、更に程度が酷い場合は弁護士を立てての損害賠償問題に発展しかねません。
契約前に業者の本質を見抜く眼は必要不可欠ですが、それでも信用した業者が問題を引き起こした場合には何らかのペナルティを、常識の範囲内で課すなど事前に取り決めておきましょう。
まとめ
画一的な新聞折込に替わる新たな広報・販促手段として、チラシポスティングが広告主から注目されるようになりました。
今回の内容はあくまでも業界内での話であり、弊社ではしっかりとした規定を定め、指導を受けたスタッフで業務をしています。
コスト的なメリットだけでなく、頒布上のデメリットも併せ持つ以上、代行業者との初めてのポスティング契約には不安が伴うのも無理はありません。
それでも4つの落とし穴を回避し、5つの専決事項をしっかりと事前に取り決める事で、ポスティング代行業者との予期せぬトラブルは大幅に回避されるでしょう。
加えて広報活動の算段に大きな影響を及ぼすポスティング代行業者の選定。
じっくりとサービスの内容やクオリティを吟味してから委託先を決定しましょう。