神奈川県は国際港湾都市の横浜市や、タワー型高層マンションが林立する一大商業地区として急成長を遂げる川崎市と、日本を代表する政令指定都市を2つも有しています。
関東圏の雄として日本中に知られている神奈川県の隅々で、今日もチラシポスティングは多くの投函員の手によって続けられています。
当然、ポスティングを始めたばかりの人がいれば、この道10年の大ベテランも中にはいらっしゃるでしょう。
ところが、業界で使用される専門用語については、意外と知らない、もしくは正確な意味を分かっていない方も多いかもしれません。
今回は代表格とも呼べる数々の業界用語について、2回に分けてご説明致します。
目次
基本中の基本の用語がこちら
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ポスティング
企業が発行する広告物などを郵便ポストに投函する行為が『ポスティング』です。
ポスティングは様々な種類の広告物(チラシ・カタログ・小冊子・サンプリング・政府及び自治体刊行物など)を、決められたエリア内で配って回るだけの単純な作業…多くの人はそう思いがちですが、実は的を射ていません。
ポスティングは企業の広報活動及びエリア・マーケティングの一端を担っています。
そしてポスティング業者が企業(広告主またはクライアントと称します)から委託され、意向に忠実に沿う形で投函活動を代行します。
チラシ
ポスティング業界が得意とする広告主、もしくはクライアントには、多種多様な業界が存在します。
近年では不動産・食品・美容痩身業界が目立ちますが、目を引くデザインで作成された広告物は、時として一般ユーザーのニーズを喚起し、成約に結び付ける原動力に。
ニーズのないユーザーにとってチラシは「ただのゴミ」になってしまいますが、昨今では新聞の折り込み広告よりも、各世帯に向けてダイレクトに届くチラシポスティングの方が、物販・サービスの成約率は高いとされています。
チラシの材質として該当するものは3種類。
- 上質紙(いわゆる普通のプリント用紙)
- コート紙(ツヤと光沢があるPP紙など)
- マットコート紙(上質紙とコート紙の中間的な紙)
また、チラシには二つ以上に折られているか否かで「折りあり」「折りなし」に分類され、折りなしのチラシは「ぺらぺら」を意味する「ペラ」とも呼ばれます。
サイズは、A判であればA3からA5、B判であればB3からB5が主流です。
販促用として一番使用されているサイズとしては、A判はA4、B判はB4でしょう。
配布
ポスティング業界では、まさに広告物は主な商売道具であり、同時に「メシの種」でもある訳です。
言い換えれば「お金」と同価値のものといえるでしょう。
ですので、どのポスティング代行業者も決して広告物をぞんざいに扱いません。
自分達にとってかけがえのないものを、多くのご家庭に広く行き渡らせたいという想いから、「広告物を配布する」「チラシを配布する」と言う表現を使うようになりました。
配布料
広告物1枚当たりに設定した配布単価に配布枚数を乗じたものが『配布料』です。
時給制のアルバイトとは違い、広告主やポスティング代行業者と『配布員業務委託契約書』を取り交わして個人事業者(主)となり、契約先から業務指示を受けながらポスティングに従事する場合に適用される料金制度です。
ちなみに配布料は正規雇用・アルバイト勤務で得られる『給与』ではなく、スポーツ選手が得るような『報酬』(または『料金』)に該当し、全て『事業所得』になります。
従って、もし、契約先が報酬や料金から一定の税率で源泉徴収を行う場合、企業に勤務することで発行される『源泉徴収票』とは別の書式である『報酬・料金等の源泉徴収票』、加えて『収支内訳書』などを作成し、確定申告を行う必要があります。
また、配布料は広告物の投函員である個人事業者(主)が得る報酬と言う意味の他に、広告主がポスティング代行業者に支払う「代行料金」と言う意味合いを含みます。
全国で普及している代行業者の料金体系としては、
- 人件費や雑費、管理費などの諸経費と獲得利益を合わせた、1枚当たりの「単価制」
- 単価制ではなく、配布部数や配布エリアの総数などの諸条件を組み合わせ、サービス料金を確立した「定額制」(例:1000部配布で1万円など)
- ②に加え、成約一件につき幾らの成果報酬を含めた「定額+成果報酬制」
主に、上記の3体系が採られています。
配布員業務委託(契約)・個人事業者(主)
一個人がポスティングに従事する際、広告主またはポスティング代行業者と取り交わす契約の一つが『配布員業務委託契約』です。
この契約下での配布員の身分は、一国一城の主である『個人事業者(主)』となり、全てのポスティング活動に対し、契約書の内容や条件にもよりますが、常識の範囲内で責任を負う事になります。
個人事業主は、労働基準法が適用されません。(労働基準監督署への相談は可能)
契約先と何らかのトラブルが発生して解決を図る場合は、『公正取引委員会』に届け出て調停を受けてください。
また、企業単位で就業する場合は、一般的な『業務委託契約』が適用され、アウトソーシング業(業務請負業)の範疇として関連法の適用を受けます。
一方で、アルバイトもしくは正規雇用者として雇用契約を結び、ポスティングに携わる場合は、一般の企業社会と同じ「労働者」扱いになり、労働基準法が適用されます。
ポスティング代行業者
『ポスティング代行業者』とは、広告主と「配布代行契約」を締結し、ポスティング事業に携わる企業、または個人事業者(主)を指します。
そして、クライアントである広告主に代わってポスティング活動の一切を取り仕切り、生じた損害やクレームについては全面的あるいは一部に賠償責任を負います。
それ故「代行業者」の名を冠しているのです。
広告主(クライアント)
『広告主』は、広告物を発行する企業、または個人業者を指す言葉。
『クライアント』とは、日本語で言い換えれば「依頼主」「お得意様」。
現在でも、広告主自らがポスティング活動にタッチするケースもありますが、効率性重視の観点から、外部に当たる代行業者にポスティングを依頼するパターンが大半を占めています。
このような用語もあります
以下は、ポスティング経験者から直接聞いた話を中心に、まとめていきたいと思います。
チラシ禁止
誰しも戸建て住宅の郵便ポストに、集合住宅の集合ポストに、至る所で『チラシお断り』のサインを見かけた事があるのではないでしょうか。
ポスティングは時として、広告物を全く必要としない人にとって迷惑をかける手段になりかねません。
また、実際にポスティングの被害に遭い、怒りの声を上げる物件サイドが年々増えているという話を耳にします。
ポスティングは、クライアント先である企業や事業主の広報・販促活動の代行業務であり、社会的にも意義のある活動です。
それでも、社会常識を弁えた上で、何らかの形で禁止を謳う郵便ポストには、チラシを投函しないようにしましょう。
チラシ厳禁
『チラシ禁止』がエスカレートして、半ば感情的になっている状態の意思表示が『チラシ厳禁』です。
無視してポスティングをすると、住人や管理会社とトラブルに至る可能性があるとの事ですので、投函は絶対に控えましょう。
強硬なチラシ禁止
『チラシ厳禁』が更にエスカレートして、裁判も辞さない強硬な手段に訴えるようになった状態が『強硬なチラシ禁止』です。
ポスティング経験者の話では、なんとなくですが、建物自体が近寄りがたい雰囲気に包まれているのだそうです。
例えば「回収」
郵便ポストに投函した全ての投函物を広告主、もしくはポスティング代行業者に引き取らせるのが「回収」です。
さらには、この他にも数種類のペナルティがあるとの事。
実際のポスティングでも「強硬な所かな?」と感じたら、そこからすぐに離れるなどの冷静な対応を取るようにしてください。
まとめ
日々ポスティング活動に励むあなたにとっては、既にご存知のものが多かったかもしれませんね。
ポスティング業界にもやはり、普段の生活では聞き慣れない専門用語がいくつか存在します。
もし知らなかった専門用語がいくつかありましたら、これを機に知識の糧として業務に活用していただければ幸いです。