日々のポスティング、大変お疲れ様です!
配布エリアの物件を全て回った後、また別のエリアに移動して1軒1軒粘り強くポスティングに汗する…そんな光景が目に浮かびます。
ところがポスティング活動中に何気なくやってしまうのが、意外な形での「不法行為」。
例えば雨降りの中、チラシが濡れないようにと気を遣って自転車やバイクを覆いのある玄関先など、物件の敷地内に停めていませんか?
実はこれ、場合によっては立派な法律違反だったりします。
知らず知らずのうちに犯してしまう違法な行為について、法律・法令と関係づけながら取り上げてみました。
思わぬハプニングに巻き込まれないよう、この機会に神奈川県でのポスティングに関係する法律や法令に強くなりましょう!
目次
ポスティングにおける違法な行為にはどのようなものがあるか?
image:いらすとや
注意してポスティングに従事しないと起こしやすい違法な行為。
大別すると4種類が挙げられます。
①軽犯罪行為
②器物破損(損壊)行為
③不法侵入行為
③迷惑行為
等ですね。
日本ではそれぞれの違法な行為に対して関係する法律・法令などが制定されており、該当すれば「不法(犯罪)行為」として処罰の対象になってしまいます。
それでは次にそれぞれの違法な行為を取り締まる法律・法令を見ていきましょう。
ポスティングの違法な行為を取り締まる法律・法令は?
故意の有無に限らず、ポスティングでの違法な行為に関係する法律・法令・その他条例には以下の3つが挙げられます。
①軽犯罪法
②刑法
③各都道府県(ここでは神奈川県)もしくは市で定めた条例
ここからは違法な行為の概略的な事例と取り締まる法律・法令の内容を紹介していきます。
『軽犯罪』に関係する違法な行為の例
軽犯罪と言ってもその罰則は重いものがあり、罰則事項としては最高で1年の懲役または100万円以下の罰金、罪状が軽い場合だと拘留または科料に処されます。
ポスティングでは一番犯しやすい違法な行為の数々として頭にいれておきたい所ですね。
個別に「チラシ禁止」の表札があるのに無視して投函すると…
ポスティング業界での共通認識として、個別に「チラシご遠慮ください」「チラシ禁止」などの但し書きがポストに確認できる場合、チラシの投函は出来ない事になっています。
これは社会規範上、日本全国のポスティング業者や投函員が遵守すべき最低限のルールの1つです。
でも、故意の有無を問わずチラシを投函してそのままにしてしまうと、軽犯罪法第1条第33項の軽犯罪行為に該当する可能性が高くなります。
うっかり投函してしまった場合は無理に取り出そうとせず、住人の方に謝罪して回収するなり、投函の許可を求めるなりきちんとした態度を取りましょう。
誤投函等の理由で、何らかの方法で無理やりチラシを回収しようとすると…
上記のケースに似ているのですが、チラシを投函してはいけないポストに誤配してしまった…その際にポストの奥行が深すぎてどうしてもチラシに手が届かないのに、それでもポストに手を突っ込んで無理やり取ろうとすると違法な行為に該当します。
こちらも軽犯罪法第1条第33項の軽犯罪行為に当たるのですが、やはり上記同様に責任ある態度を取るべきでしょう。
それに誤ってポストを壊してしまうと、もはや住人に誤って済む問題ではなくなります。
問題が大きくなる前に手を打つのも礼節を知る、デキる投函員としての素養の1つではないでしょうか?
広告物などで一杯になったポストにチラシを無理やり投函すると…
書類や広告物などで一杯になったポストにチラシをねじ込むように投函した…。
意外に思われるかもしれませんが、これも状況次第では軽犯罪法第1条第33項の軽犯罪行為に該当する可能性があります。
この迷惑行為そのものは
『みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をし、若しくは他人の看板、禁札その他の標示物を取り除き、又はこれらの工作物若しくは標示物を汚した者』
という軽犯罪法の条文に当てはまる要素が殆どなく、単に迷惑行為で片付くのであれば住人の不評を買うだけでしょう。
しかし、それがきっかけで物件自体がチラシ全面禁止となり、いずれは回収・罰金・警察への通報などでより強硬な姿勢を取らないとも限りません。
「他人には絶対に迷惑をかけない」「何事もやりすぎは禁物」…と言う事なのでしょうね。
投函防止テープを切り刻むなどの悪戯をすると…
相次ぐ迷惑チラシの投函にすっかり神経質になり、投函口にテープ類を貼り付けて投函禁止の意思表示をしているポストを一度は見かけたことがありませんか?
この投函防止テープをカッターやハサミで切ってしまうと、立派な軽犯罪行為になります。
該当する法律は上記同様、軽犯罪法第1条第33項なのですが、場合によっては軽犯罪法よりも重い罰則のある刑法第261条の「器物破損罪」に問われる可能性もありますから要注意ですね。
うっかり破いてしまった、というのもダメですよ。
『器物破損』に関係する違法な行為の例
器物破損罪に関しては刑法の範囲内にあるため、罰則も軽犯罪法に比べて刑期が長くなるなど、やや重くなっています。具体的には3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料に処されます。
軽犯罪行為に比べて故意と過失の要素がより強くなりますから、常識を弁えて真面目にポスティング活動に従事している方々であれば、あまり関係のない内容かもしれません。
それでも、うっかり仕出かしてしまった違法な行為の予備知識として頭に入れていただけたらと思います。
チラシ禁止の看板に落書きしてしまうと…
チラシ禁止を謳う物件のポストについ魔が差して面白半分に落書きをしてしまった…等といった場合は落書きの程度によって該当する法律が変わってきます。
具体的には稚拙なもので「すぐ消せる」程度であれば軽犯罪、ポストの使用がはばかられる程に住人の名誉や尊厳を著しく損ねる落書きであれば、刑法第261条の器物破損罪に該当する可能性があります。
実際に茅ヶ崎市などでは条例を別に制定して心無い落書き行為の防止に取り組んでいます。社会人として恥ずかしい行動は厳に慎みましょう。
投函物で一杯のポストに無理にチラシを突っ込み、ポストを破損させると…
一枚当たりいくらの単価制でポスティングに携わる委託契約の投函員にとって、チラシ1枚の重みは計り知れないものがあります。だからポストが一杯でもなんとか入れ込もうとするのですが、その結果ポストを壊してしまったらそれこそ何の意味もありません。
一生懸命になる気持ちがそうさせるのかしれませんが、この違法な行為はれっきとした刑法第261条の器物破損罪に該当します。
上記の罰則事項が適用されるだけでなく、裁判や調停等で壊したポストの弁償まで命じられる可能性がありますのでふんだりけったりにならないよう、投函作業は慎重に、節度を以って行いましょう。
『不法侵入』に関係する違法な行為の例
同じ刑法ですが、こちらは関係者(この場合は住人など)ではないにも関わらず、例えばポスティングを目的として他人の住居や敷地内に勝手に侵入するなどの違法な行為を表しています。一般的には「不法侵入罪」の通り名が有名ですが、正式な罪名は「住居侵入罪」になります。
具体的には3年以下の懲役または10万円以下の罰金が処され、侵入未遂も罪に問われるのでこちらも注意が必要ですね。
不審者と間違われるのも心外ですから、以下の2つのケースには細心の注意を払いましょう。
『関係者以外立ち入り禁止』の但し書きがあるのに、構わず敷地内に入ると…
意外と軽く考えてしまいがちなのが「関係者以外立ち入り禁止」の表示。
例えばポストの場所を特定するために表示を無視して建物の構内や庭などに入ってしまうと、目撃した物件の住人や管理人からいきなり身柄を拘束されて警察に通報される等、不測の事態に巻き込まれかねません。
また物件の住人や管理人、管理会社に許可なくポスティングを行った場合にも法律に問われる可能性があります。
集合マンションや法人ビルなど、管理会社の管理人や警備員が常駐する物件では、必ず投函の許可を求めるようにしましょう。
許可なく自転車やバイクを敷地内に停めると…
ポスティング中に突然雨が降り出し、思わず覆いのある玄関先に自転車やバイクを停めてしまった…このような切羽詰まった状況でも法律は見逃してくれません。
ただ、雨宿りの許可を管理人や住人から得られれば、住居侵入罪には該当しません。問題は許可なく雨宿りをしてしまった場合で、こちらも礼節を欠くと関係者から刑法第130条前段の住居侵入罪に問われる可能性が出てきます。
『迷惑行為』に関係する違法な行為の例
これまで軽犯罪法・刑法といくつかの法律が出てきましたが、最後に神奈川県を含め各都道府県が定めた条例の1つで、わいせつな迷惑チラシの投函を取り締まる「迷惑行為防止条例」をご紹介します。
わいせつなビラなど、条例に違反する反社会的なチラシを投函すると…
俗に言うピンクチラシを「正当な理由なく」ポスティングした場合に該当する不法行為です。
住人が求めていないものを広告主やポスティング業者の都合で一方的に投函する行為は「正当な理由」に当たらず、まさに迷惑行為そのものに他なりません。
神奈川県が定めた迷惑行為防止条例第10条の迷惑行為に該当し、身元が特定されれば100万円以下の罰金、拘留または科料に処されます。
あなたが投函しているチラシに思い当たる点がなければ幸いですね。
まとめ
ポスティング中にうっかり犯してしまう違法な行為は、善人も悪人も、真面目な人もそうでない人も関係なく一瞬のうちに起きてしまいます。また、不法行為を取り締まる刑罰の内容も実に強力なものばかりです。
是非、法律や法令を弁えて日頃のポスティングの在り方を見直し、社会のルールに則った節度の高い配布活動に努める機会となれば幸いです。